今回は、教育者、新渡戸稲造の格言をご紹介
“Haste not, Rest not” –Nitobe Inazō
急ぐなかれ、たゆまぬ(休む)なかれ
新渡戸稲造(1862-1933)
【本日の格言解説】
昔の五千円札の顔、みなさんまだ覚えてますか?
あの新渡戸稲造です。
ちなみにこの名言が書かれた書は東京文化学園にあります。(しかも英文で!)
新渡戸稲造は英語がとても流暢で、英文で書かれた『武士道』は世界的にベストセラーになり、セオドア・ルーズベルトにも影響を与えたのだとか。
武士道 (PHP文庫)
武士道 (PHP文庫)
新渡戸は東京大学へ進学するも、レベルの低さに失望し、海外で学ぶ為に渡米したり、ドイツへ行ったりして、国際的な感覚や教養を身につけ、ついには国際連盟の事務次長に就任したこともありました。
また、様々な学校の教授や学長になるなど、日本の教育においても重要な人物でした。
実はこの格言、新渡戸稲造自ら生み出した言葉ではなく、元々ゲーテの詩集「穏和なクセーニェ」にあるもの。
ゲーテを崇拝していた、英国人であり、ドイツ文学研究者のトマス・カーライルがこの詩の一部を引用し、これをさらに新渡戸稲造が引用した、というわけです。
ちなみに、カーライルに強い影響を受けていた新渡戸は、カーライルの「衣装哲学」を30回以上も読み、自分の息子に遠益(とおます)と名づける程だったとか。
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さて、新渡戸は今回の格言を様々なところで残してきたようですが、「Haste not, Rest MORE(急ぐな、休め)」という言葉も残しています。
これは、愛弟子の森本厚吉が女学校を創立し、新渡戸に校長を頼んだ際に、新渡戸が森本に対して「働きすぎだ、もっと休め」という意味で、前述の言葉をもじって贈ったものです。
常にあくせくしていて、周りが見えない程に頑張りすぎている人に、この言葉を贈ってみては?